平成28年度第5回ろう者学ランチトーク:鈴木健史さん

2016/06/02掲載

 5月30日(月)に第5回ろう者学ランチトークが行われました。

 今回は本学卒業生の鈴木健史さんにお越し頂きました。講演テーマは「勉学以外にも全力を欠けることへの意味~バイクが縁でつながった縁~」です。鈴木さんは2011年に本学総合デザイン科を卒業し、現在は会社勤めの傍ら、モデル・ペインターとして活躍されています。今回は大学時代の経験、そしてこれまでのお仕事の経験、本業以外の活動などについてお話し頂きました。

 おかげさまで、教員、学生、地域にお住まいの方々合わせて、35名の参加がありました。

 兵庫で生まれ、はしかが原因で聴力が下がった鈴木さんは、言語訓練学校「こばと幼稚園」に通い、一般学校に通います。高校は京都府立聾学校高等部に入学し、そこで初めて手話を覚えたといいます。高校卒業後、筑波技術大学に2期生として入学し、全国から学生が集まるため、それぞれの手話表現が異なっていて驚いたそうです。本学卒業後は一時東京で暮らしていましたが、転職をきっかけにつくばに戻られました。

 本学では、総合デザイン科生産デザインコースで学びました。学生時代は、バイク、ダンスに熱中になったそうです。ダンスは、本学のダンスサークルに入ったことがきっかけで始め、Deaf Boogieというロックダンスのダンスユニットのメンバーとして活動し、D’LIVE等のイベントに出演しました。

 バイクというと原付スクーターと思われるかもしれませんが、鈴木さんは特にアメリカンバイク型、ハーレーに憧れてHONDA JAZZを学生時代に中古で購入したそうです。その後はカスタマイズに夢中になり、少しずつ改造していきました。

 ダンスやバイクに夢中になりすぎて留年しかけたそうですが、なんとか、ソフトバンクモバイル株式会社に入社し、人事本部研修管理部といって、e-ラーニングコンテンツの提供・管理を担当する部署に勤めます。

 ソフトバンクでの経験を経て、車で通勤したいという思いからつくば市内にある協和発酵バイオ会社に転職し、現在は学術研究企画室という部署に勤めておられます。アミノ酸情報を社内外に発信したり、アミノ酸の専門的な情報をお客様や営業に伝えたりする部署だそうです。そこで、企業向けのチラシやセミナーのチラシを作成したり、展示会のブースデザインを手がけたりしておられます。

 本業以外の活動として、ピンストライプをやっています。ピンストライプとは、起源はアメリカで、専用の毛足の長い筆を使い、フリーハンドで左右対称に細いラインのみで書きます。バイクや車に描いたり、ウェディングボードを作ったりしています。まだまだ勉強中だそうですが、仕事の依頼を受けることはあるそうです。モデルもモデル事務所のスカウトをきっかけに活動を始め、バイク雑誌などマイナーな雑誌を中心に出ておられます。

 このようにアクティブな鈴木さん、趣味を通して様々な人と出会ったといます。「耳が聞こえないから」「目が見えないから」「言葉を話せないから」ではなく、逆の発想で毎日を楽しく生きるためにはどうしたらいいか考えて生きると面白いと話してくださいました。そして「自分から話しかけるのは無理でも話しかけられるためにはどうすればいいのか考えてみよう」と問いかけます。鈴木さんの場合は、個性的なバイクで色々なところに走りに行って、たくさんの人に話しかけられたといいます。

 最後に「こんな今だからこそ、自分の趣味、特技に力を入れてみてはどうでしょうか」「大学時代に出会った友人、先輩後輩は大切にしてほしい」と熱いメッセージを投げかけてくださいました。もちろん勉強も大事ですが、自分の興味のあることを追求していくと、新しい世界が開けてくることもありますね。

 参加してくださった皆さま、ありがとうございました!!

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