2022年度第2回ミニトーク「私の人生とスリランカのろう者」
講師:バスティアン・コーララゲ・ディルシャン・カヴィンダ・ロドリゴさん

2022/11/28掲載

ミニトーク

 ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業の第22期生として日本で研修をされている、スリランカ出身のろう者 バスティアン・コーララゲ・ディルシャン・カヴィンダ・ロドリゴさんにお話いただきました。


 こんにちは、私はカヴィンダといいます。スリランカから来ました。

 中学校まできこえる学校に通っていましたが、コミュニケーションが難しく授業の内容が分からなかったので、高校はろう学校に入りました。大学では、経済学を専攻していましたが、日本のように情報保障が整っていなかったため講義の内容が分からずとても大変でした。結局、通常は4年で卒業するところを5年かけて卒業しました。卒業後は、銀行と提携している会社にサービスオフィサーとして就職しました。「コミュニケーションが難しいから」、「電話ができないから」といった理由から、自分よりも学歴が低いきこえる人よりも給与が安い状況で働いていました。このような状況は、私だけでなく他のきこえない人も就労面において厳しい状態に置かれています。

 私は現在ダスキンさんのサポートで日本に来ていますが、実は2015年から4回応募して落選しているのです。今回、晴れて研修生として認められ、日本で研修を受けられる喜びを感じており、とても感謝しています。

 スリランカのろう者コミュニティについて、日本の状況と比較しながら説明します。スリランカろう者の人数は日本の約半分ほどの16万5千人で、ろう学校の数は日本だと106校ありますが、スリランカは19校です。そして、日本は筑波技術大学というろう者のための大学がありますが、スリランカにはありません。高度な技術を持つ手話言語通訳者は、日本の3,932人に対しスリランカはたった9人しかいません。ちなみに、通訳者はコーダ(きこえない親に育てられたきこえる子ども)がほとんどです。また、インドとの政治事情や民族対立によって北部と南部で手話言語が違うという課題もあり、手話言語通訳者の人材不足が深刻な状況です。スリランカではきこえない人に対する理解が少なく、就労が厳しいだけでなく、障害年金の制度もない、ろう学校では手話言語ではなく口話での教育が増えてきている、運転免許の取得も認められないといった、さまざまな問題を抱えています。

 私は、2004年からガンパハ地区ろう協会に所属しており、きこえない子どものいる貧しい家庭に本を提供したり、雇用や賃金の改善、運転免許取得の法律改正を訴えたり、さまざまな活動をしています。日本はろう者に対する支援制度が整っていますので、私はこの研修で日本から色々学んでいます。日本で学んだことをスリランカに持ち帰って、ろう者の地位向上や雇用機会の増加などの活動に力を注ぎたいと考えています。

 皆さん、お話を聞いてくださってありがとうございました。


 今回は学生、教職員を合わせて39名の参加がありました。ミニトークにお越しいただき、ありがとうございました!

ミニトーク

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