聾唖教授手話法(鹿児島):1909(明治42)年再版発行(初版は1902年発行)
ラベル(翻訳)読み説明文(翻訳)
数の部
11いち掌を自分の方に向けて、人差し指を出す。
人差し指を出す場合、向け方で意味が違う。掌を下に向けると前方を指さすことになる。指先を上に向けると空または上となる。
掌を自分の方に向けるといっても力を入れる必要はない。上を指さしたり、前を指さしたりするのと混同しなければよい。
12二~五に、さん、し、ご(指の)数を増やしていくだけでよい
13ろく左の5指を伸ばし、その掌に右手の人差し指を当てる。
    以下同様
14二○にじゅう親指と人差し指を曲げて、親指の爪の上に人差し指の先を重ねて、指先を上にする。
掌は相手に向けるのがよい。相手がわかりやすいからである。
25三○さんじゅう親指を折り曲げて、その上に人差し指と中指を曲げて重ねる
26五○ごじゅう親指を中にして拳を握る
27六○ろくじゅう同じようにした後、小指を伸ばす
28一○○ひゃく左の親指と人差し指で右手の人差し指を挟み、その後、人差し指を離して、上に上げる。
29二○○にひゃく同じようにして、人差し指と中指を上げる
210六○○ろっぴゃく同じように左の親指と人差し指の間に右手指(すべてを)挟み、次に左手すべてと右人差し指を上げる
211七○○ななひゃく六○○と同様にする
212千、万せん、まん空書する
時の部
213今日きょう、こんにち掌を下に向け、1,2度押さえる。打つようにする。(「今」、「今年」も同じ)
214明日あす、みょうにち1つ指を出し(た後)、手枕をしてから起きるまねをする。
215明後日あさって、みょうごにち2つにする。(明日と同じようにする)
216昨日きのう、さくじつ人差し指を伸ばして、肩の辺りまで上げ、2回程後ろを指さす。
317一昨日いっさくじつ、おととい人差し指と中指で「昨日」と同じようにする。 その他も同様。
318あさ拳で手枕をして、頭を上げると同時に拳を下げる
319ゆう両手または片手で円を作り、太陽が傾き日没になる様子の身振りをする。あるいは掌を横向きにして、開いた手を前に出して、指先を下に回し降ろす。
320よる掌を外側に向けた手を小さく開き、目の前で細かく左右に動かす。なお、昨夜は昨日の夜、今朝は今日の朝とする。
321明朝みょうちょう明日と同じ。ただし、どうしても区別したい時は朝日が昇る身振りを加えてもよい。
322正午しょうご人差し指の上に中指を重ねる
323以後、未来いご、みらい掌を向こうに向けて、手を前方に押し出す
324以前、過去いぜん、かこ未来の反対だから、前方に押し出した手を後ろに肩の辺りまで引き寄せる
325時刻じこく両手の人差し指を並べ、その元を軸として、右人差し指を1回転させる。(数時間なら数回転させる)
426一時いちじ時刻と同じ手話の後、一を示す
427遅い時おそいとき時刻が過ぎたことを示す
428早い時はやいとき人差し指の先を親指に当て、はじき上げると同時に手も少し上げる
429終日しゅうじつ人差し指と親指で円形を作り、脇の方から高くしていき、自分の前まで弧を描く。日の出から日没までという手真似をする
430毎日まいにち親指から順に5指を曲げ、その都度寝る真似をする
431隔日かくじつ五本の指を出して、一つおきに示すか、または人差し指と中指を開いて立て、翻すようにひっくり返しながら手を横に移動させる
432後日ごじつ以後と同じか、あるいは打ち付けるような仕草で前に進める
433先日せんじつ手を肩の辺りに上げて、後方を叩くようにして、何日も前に過ぎたことを示す、あるいは指折り数えて知らないと云い、同じ手真似をする
534一年いちねん左手を軽く握って臼の形にし、右の人差し指を杵として餅をつく真似をする。そして指先を上げて一を示す。(女子は羽子板をする真似をすることもある)
535二年にねん餅をついて、二を示す
536はる掌を上向きにした両手を広げ、腹の辺りから、おもむろに押し上げる動作を2,3回する(暖かいの意味)
537なつ顔から汗が垂れる仕草をして、左手で襟を少し広げて、右手であおぐようにする
538あき両手で前方から空気を胸のあたりにかき寄せるようにする(涼しいの意味)
539ふゆ両手を握って、縮こまってふるえるようにする
540このごろこのごろ右手の掌で右肩上で前後に押すようにする
貨幣の部
541ぜに、せん親指と人差し指の先をつけて、円形をつくる
542銀貨ぎんか歯を示した後、銭を作って、これをひっくりかえすように動かして、光っていることを示す
543銅貨どうか赤い銭(色の部の赤を参照)
644一文銭いちもんせん左の指で銭の形を作って、右の人差し指で中心を貫く
645一厘いちり一文銭一つ
646五厘ごり左の人差し指を出して、右の人差し指で半折りにする
647一銭いっせん銭の手真似をしてから、一を示す。十銭まで同様。
648二銭五厘にせんごり三本指を出して、下の指を半折りする。十銭以上は単にその数を示すだけ。
649一円いちえん指の背で物を打つように勢いよく人差し指を前にだすと同時に口で吹く。九円まで同様
650十円じゅうえん掌を手前に向けて両手を前に並べ、全部の指先を手前から下に向けて一回転させて、掌を向こうに向け、さらにその場所を押さえるようにて十指を示す
651十一円じゅういちえん十円と一円を続ける。後は同様にするが、十六円の場合は、十円を示すように、両手の指先を一回転して、すぐに六円の手話をする省略法もある
752二十円にじゅうえん片手の指を以前のように一回転して、二十を示す。以下同様にして金額を示す
色の部
753いろ右手の親指と他の指をこすり合わせる。(小指から人差し指に順にすべらせる)
754あか指頭で唇に触れて、その後「色」と同じにする。白以下同様
755しろ歯を指す
756くろ髪の毛を押さえるかなでる
757あお目の下を、五指を伸ばした手で右方向に横になでる
758むらさき小指が唇に触れる位に目の下に手を当てて、斜めになでおろす(青と赤が混じっていることを意味する)
859両手で小さな楕円形を作り、振り下ろすようにして離していく。卵を割るようす。
860桃色ももいろ唇を指した手を下に向けて、指先をすぼめたり開いたりする(赤が薄くなることを表す)
天文の部
861太陽たいよう両手で円形を作る(親指が下、人差し指が上)
862つき親指と人差し指で空中に新月(三日月)の形を描く。(満月と言いたい時は円形を作って、中にものがあることを示す)
863かぜ掌を開いて、親指を上にし、手を右から左に動かす。(風の強弱によって、その速さが異なる)
864あめ掌を下に向けて開き(指先は自然に下に垂らす)、上から下に動かす
865くも掌を向こう向きにして、手を前方の上方にかざして、左右に動かす
866ゆき歯を示してから、雨と同じ手話をする
967こおり氷を削る仕草。(冷たい様子を加えてもよい)
968指先を上に向けて両手を広げ、左右交互に上下させて、火が燃える様子を示す
969はれ掌を向こうに向けて、両手を前方の上方で接して、円を描くように左右に開きながら下ろす。(雲をなくす意味)または略して、片手で一度空を撫で払うようにして「よい」と言う。
970くもり雲と同じ
971日向ひなた上方に太陽の形を作り、太陽の光が射すように斜めに、広げるように下ろし、その場所を指さす
地理の部
972みず井戸の釣瓶(つるべ)を引き上げて水を飲む真似をする
973やま平手で山の形を空中に描く
974たに両手で山を描き、その間を指さす
975さか下に向けた掌を上から斜めに下ろす。または下から斜めに上げる。(勾配も示される)
1076うみ波が打つ真似をして、広い水であることを示す
1077河川かせん両手の手のひらを向い合せて岸とし、これを長く引き伸ばす。次に水が流れる真似をする。また、指を垂らした手で水が流れる様子を表すこともある
1078いけ手のひらを上にした手を伸ばして、前方に孤を描く。(見やすくしたい場合は、水、を表し、次に両手でこれを広く囲む真似をする)
1079はし水、を表し、その上に橋の形を表す
1080瀑布ばくふ水、を表し、急に落ちている状態を表す
1081森林しんりん木、の手まねをして、さらに、たくさん(澤山)であることを示す
1082おか低い山
1083草が生えて広い、という様子を表す
1084水草を耕す様子を表す
1085むら家、を2・3軒作り、耕す真似をする
1186まち数軒の家を作り、売買の真似をする。売買、は、左右の手で銭の形をして小さく交互に前に出す
1187みち親指を上にして、手のひらを向い合せ、指先を少し下げ、まっすぐに前に出す
1188井戸いど四角(円)形を描き、つるべを釣り上げる真似をする
1189いし右手の爪先をそろえて、左の手のひらを打つ、あるいは両拳を打ちあわす
1190いわ指の全関節を曲げ、少し裏返しながら、両手をあげてくっつける。次に、重い、あるいは堅いという様子を示す
1191土砂どしゃ指を下に向け、土砂をひねりもむ真似をする
1192いえ両手の指先を付けて、屋根の形をする
1193二階にかい屋根を上下二段に作る
1194長屋ながや屋根の状態のまま、前方に押し進める
1295土蔵どぞう鍵を使う真似をした後、家、を表す
1296廊下ろうか家の内の道
1297雪隠せっちん手を洗う真似をする
1298監獄かんごく手を握ったまま両手を交差し、次に両手を広げて立て、囲碁の格子の真似をする。あるいは、家を作って錠を下ろす
1299やしろ両手のひらを打ち合わせて参拝した後、家の真似をする
12100てら頭をひと撫でし、開いた両手を立て、人さし指の方を口にあて、右の人さし指で木魚を叩く真似をした後、両手で屋根の形を作る
12101もん左右の人さし指で門構え⊓を描き、次に手のひらを向こうにして両手を前に合わせ(重ねるのではなく)門を閉じたようにし、さらに手をひるがえして左右に開く
12102開閉の真似をする(雨戸、は、夜閉じる真似をする)
12103まど四角形を描いて、開いて外をのぞき見るまねをする
13104格子こうし四角形を描いて、次に指を開いて立て、窓と同様にする
13105障子しょうじ指を開いて、縦横にマス目を描くようにして、開閉するまねをする
13106ふすまふすま引き手の形を作り、開閉のまねをする。(または先に両手でふすまの中や上に絵が描かれていることを示す)
13107かわらひっくり返した手を横にずらし、少し上げてはまたずらす
13108かきねかきね指を斜めに交差させ、両手を立てるか、両手を開いて並べて立てて、木が成長するように伸ばしながら、左右に開く、あるいは右の人差し指で左の掌を突き、杉の垣根を作るまねをするが、家の周囲に立て回したものであること示すとわかってもらえる
人倫の部
13109天皇てんのう親指を高く上げる
13110皇后こうごう小指を高く上げる
13111両陛下りょうへいか親指と小指を高く上げる
14112皇太子こうたいし片方の親指を高く上げて、これよりやや下にもう一方の親指を接する。
14113皇子おうじ両陛下の子供
14114士族しぞく両手で「たぶさ」のまねをして、刀を差している様子をする。別の方法として、親指の方を上にした掌を向かい合わせにして、両手を前に出す。その時、指先を少し下げたまま軽く上下する
14115平民へいみん農商の手話をする
14116人民じんみん全国(広いと同じ)の男女
14117おとこ大人、父、長、主人は親指
14118女、母おんな、はは小指
14119父母ふぼ、ちちはは親指と小指
14120夫婦ふうふ親指にもう一方の手の小指を付ける
15121おっと夫婦の手話をしてから、さらに親指を示す
15122つま同様に小指を示す(婿は夫と同じ。妻と嫁も同じ。嫁ぐ、養子に行くも類推する)
15123ひと父母と同じ手話をした手をその位置に止めて、左右に少し回し動かすか、両手の親指と小指を出して、親指と親指、小指と小指を交互に2,3回当て合わす
15124女たちおんなたち小指と小指
15125男たちおとこたち両手の親指を出して、2,3回当て合わす
15126子供こども小指を示し、低く抑えるようにする
15127腹の辺りから子が生まれるようなまねをして、その後、子供であることを示すか、省略して親指または小指を腹の辺りから前に突き出す。親指や小指で父母を表した時は、その指の辺りから横に突き出す
16128まご父母から生まれ、そしてその子から生まれた子であることを示す
16129子孫、後裔しそん、こうえい親指を立て、それに一段低くした他方の親指を付ける。この手話を連続して数回する。
16130祖父母そふぼ自分の鼻か胸を指さした後、親指または小指を立てて、他方の手で父母の手話を作って、そのどちらかより一段高く付ける。別の方法として、老人ということもある。
16131先祖せんぞ親指を出して、他方の親指を一段高く付けることで祖父とし、その位置を維持したまま、元の手をさらに高くする。これを数回繰り返した後、最後に親指を高く上げる。
16132兄弟、姉妹きょうだい、しまい掌を下に向け、上下することで長幼を示してから、男女を区別する。あるいは五指を伸ばし、親指以外の4指で長幼を示してから、男女を区別する。
16133叔父叔母おじ、おば両親の手話をしてから、そのどちらかの兄弟あるいは姉妹であることを示す。あるいは指を親兄弟とみなして、そのいずれかが自分の父ないし母と仮定して、区別する。
17134教師きょうしひとさし指を前方に2回、指で計るように教える手話をする。男性教師の場合は親指、女性教師の場合は小指を出す。
17135生徒せいと本を脇に挟む子供、本を読む人、教わる人とする。
17136とも両手で握手するようにする
17137書生しょせい手をふところに差し入れたり、帯の間に挟んだりする
17138女学生じょがくせい本を読む(掌を前に出して開き、それを書物として、右のひとさし指を口の前で動かす)女とする、あるいは本を小脇に挟んで、流行の束ね髪をしている人とする
17139官吏、紳士かんり、しんし口ひげをして、ステッキをもちいばっている真似をする
17140富者ふしゃ金がたくさんあることを示す。たくさんは掌を上にして左手を出し、右手の掌を下に向けて左手の上に置き、引き上げていくことで、金が積もっていることを示す。
17141医師いし脈をとる人
17142そう寺の所をみよ
18143巡査じゅんさ右の指で小円形を作り、これを額の上にかざし、同時に左手でサーベルをもつ仕草をする
18144兵士へいし銃を持つ仕草をする
18145将校しょうこう兵士を教える人
18146のう鍬を使う様子を示す
18147こう左右の手を打ち合わせて、ノミを使う様子を示す
18148しょう売買の手話
18149僕卑ぼくひ手をついて体を曲げる仕草の後、男女を付ける
18150従者じゅうしゃ・じゅしゃ・ずさ親指の後に他の親指を添えて、従えて行くようにする
18151正直、賢い人しょうじき、かしこいひと親指を立てて、腹の辺りから少し上げる
18152善人ぜんにん善と同じ
18153悪人あくにん親指を腹の辺りに立ててから倒す
19154偽君子ぎくんし腹の辺りに立てた親指を倒すと同時に反対の手で覆い隠すようにする
19155紈袴子がんこし頬を2,3度なでる
19156芸妓げいぎ着物を整えて、三味線を弾くまねをする
19157職人しょくにん袖の中に手を入れ、拳を肩の辺りに突き上げる
19158車夫しゃふ人力車の車棒を握るまねをして、少し体を前に曲げる
19159盗賊とうぞく一方の手で額を覆い、他方の手で鼻と口を覆ってから、手ぬぐいをかぶるまねをする
19160芸人げいにん左の額に手を当てて、右手のひとさし指で物を言う仕草をする
19161支那人しなじん後ろに髪が垂れているまねをする
19162韓国人かんこくじん韓国の帽子(縁の広いもの)をかぶるまねをする
19163西洋人せいようじんひとさし指で目のまえに小さい円を描く
19164老人ろうじん2,3本の指で額を横になでる
19165赤子あかご唇を指し、顔をなで、子供を抱くまねをする
20166乳母うば乳を飲ませるように、乳のあたりに両手を置いてから、小指を示す
20167親類しんるい両手の親指と小指を立てて、小指と小指をくっつけてから、左右に引き離す
被服の部
20168衣服いふく襟(えり)をつまんで、わずかに1,2度振る
20169ひとえひとえ夏の衣服
20170あわせ衣服の手話をしてから、左右の掌を合わせる
20171羽織はおり両手の親指を立てて、肩のあたりに持ってきて、指の背を当てながら胸のあたりからすりおろしていく。親指と曲げたひとさし指で羽織の襟を挟みしごくようにする。あるいは羽織の襟をしごくようにしてから、紐を結ぶまねをすることもある。
20172半纏はんてんはんてんの襟を握るようにして、両手を下ろし、股のあたりで掌を上に向けて、そのまま少し後ろに引いて、はんてんの長さを示すようにする
20173蒲団ふとん寝るまねをするか、蒲団をかぶるまねをしてから、四角形を描く
21174夜着よぎ衣服が厚い様子を示してから、寝るまねをする
21175まくら両手で枕の形をつくり、寝るまねをする
21176蚊帳かや・かちょう蚊帳を吊るまねをする
21177頭巾ずきんかぶるまねをする
21178足袋たび足袋のこはぜをかけるまねをする
21179襦袢じゅばん・じばん襟をつまんでから、その長さを示す
21180シャツしゃつ手首のあたりでボタンをかけるまねをする
21181被布ひふ衣服の手話をしていから、胸の上あたりで横線を引く
21182合羽かっぱ雨天の様子を示してから、被布と同じ手話をする
21183洋服ようふく筒袖(左手を前に伸ばし、右手で袖を切るように袖口から脇に至る線を引く)のまねをしてから、親指とひとさし指で小円形を作ってボタンにし、胸部に列を作る
21184手拭てぬぐい風呂に入る(手を握ってほほをこする)まねをしてから、長方形を描く
22185ハンケチはんけち口鼻のあたりを拭うまねをしてから、四角形を描く
22186股引ももひきはいて紐を結ぶまねをする
22187前垂まえだれ膝をなでおろす
22188ひも両手を近寄せ、それぞれの親指とひとさし指で小円形を作り、これを左右に引き伸ばした後、結ぶまねをする
22189いと両手を近寄せ、それぞれの親指とひとさし指の先を上向けに接触させて、糸をつまむようにして、左右に引き伸ばす
22190綿めん・わた細くするまねをする
22191木綿糸もめんいと綿の糸
22192きぬ指先をこすり合わせて、手触りがよい様子を示す
22193木綿もめん親指と他の指先を強く押え合わせるか、両手を斜めに重ねて、機織りのようにする
22194草履ぞうり両手の甲の一つは上に、一つは下に向くように掌を合わせる
23195駒下駄こまげたゲタ台を作って、その先から裏の方へなで回すようにする
23196雨下駄あまげた掌を下に向け、左手を出して、これをゲタの台とする。次にその下に歯をはめる様に2個所に右手を当てる
23197かさ両手を握り重ねて、右手を挙げて傘を開くまねをする
23198かさ頭上に両手の先を接触させ、これを下に開く。さらに、紐を結ぶまねを加える。
飲食の部
23199めし左手で茶碗を持つ形を作り、右手のひとさし指と中指2本を箸にして、食事をするまねをする。略して単に右手のひとさし指と中指で食事するまねをする。
23200かゆ柔らかい飯
23201しる両手の親指と小指をそれぞれくっつけて円形(片手なら、親指とひとさし指をつけないようにした大きな円形)を作り、これを椀に見立てて汁を吸うようにする。ただし味噌汁は味噌、吸物には醤油のまねをする
24202味噌みそすり鉢をするまねをする
24203醤油しょうゆ小指の先につけて味見するまねをする
24204同じく指先で味見し酸っぱい表情をする
24205さけお銚子から杯に注ぎ、飲むまねをする
24206しお歯を磨くまねをする
24207砂糖さとうつまんで捻るまねをした後、甘いことを示す
24208もち(餅を)ついて丸めるまねをする
24209団子だんご粉を挽いて、丸めて、串に刺したものを食べて抜くまねをする
24210あぶら掌のへこんだところをなでて、髪をなでる。あるいは油を量るように汲み上げて、高く引き上げ、おもむろに移すまねをする
24211水が沸いた様子を示す(飲料の場合は汲んで飲むまねをする)
25212ちゃ一方の手を軽く握って袋とし、もう一方の掌で、底を叩き上げるまねをする。飲用の場合は、その後に飲むことを付け加える
25213すしすし左手と、右手のひとさし指と中指ですしを握るまねをする
25214雑煮ぞうに左の手で椀を作り、右の手に箸を作って、餅を食べるまねをして、粘って伸びるのを食いきるようにする
25215汁粉しるこ雑煮のようにした後、甘いことを付け加える
25216蕎麦そば椀から蕎麦を挟み上げて食べるまねをする。細長い(糸と同じ)ことを示す
25217うどんうどん蕎麦と同じまねをした後、丸く太いことを示す
25218素麺そうめん同じ手話で極細いことを示す
25219梅干うめぼし唇を示した後、指先を集めてこめかみの所に当てる
25220蒟蒻こんにゃく四角形を作って、両手でつかんでピクピク震わせる
25221豆腐とうふ白いことを示した後、両手で長方形を作って、そのまま手を少し下げて、豆腐の高さを示すか、高さの代わりに掌の上で縦横に切るまねをする
26222油揚あぶらあげ髪をなでるまねをした後、四角形を作る
26223煙草たばこひとさし指と中指2本を立てて、掌を向こうに向けて、口に当てて、巻煙草を吸うまねをする
穀菜の部
26224こめ(米を)研ぐ真似をするか、飯の真似をして後、ひとさし指の先を少し示す
26225むぎ飯が悪いという手真似をする
26226まめ両手の親指とひとさし指で小さい丸を作り、左右交互に上下させる
26227そら豆そらまめ親指とひとさし指の先をつけて楕円形を作り、そのまま指先で歯をこするようにする
26228さや豆さやまめさやのふち(すじ)を取るような仕草をした後、豆という
26229あわ豆と同じ手真似の後、極小で黄色であることを表すか、茎が上に伸びて穂が垂れ下がる真似をする
26230とうもろこしとうもろこしひとさし指を横にして口の前に持ってきて、回しながら、噛んで食べる真似をする
27231両手で葉が開いている真似をする
27232大根だいこん白くて丸長いことを示す
27233にんじんにんじん赤くて丸長くて、先にいくほど小さいことを示す
27234ごぼうごぼう黒い根と言う、また、髪をこすって、その後削る真似をする
27235かぶかぶ両手のひとさし指でカブの形を描く
27236くわいくわい左手で円形(指先を上にむける)を作り、両指頭が接触する所に右のひとさし指を当てて、突き出しているものの手真似をする
27237ごまごま黒白の小粒であることを示す(すり鉢ですり、香りがいいことを示す)
27238わらびわらび五指をゆるく握ってサワラビのような形を作り、腕を立ててるか、ひとさし指で?形を空書きする。
27239たけのこたけのこ左手の指をすぼめて、右手でその周りに皮が折り重なっている様子を示す
28240つわぶきつわぶき皮をむく手真似をする
28241ふきふきつわと同じ手真似をして、次に左手を軽く握って、その中に右のひとさし指を差し入れて茎の中が空洞であることを示す
28242わさびわさび(わさびを)おろす手真似をして、その後、香りがあることを示す
28243きゅうりきゅうり瓜を握って皮をむく真似をし、トゲがあることを示す
28244すいかすいか青くて丸いものを示し、割ると赤いことを示す
28245かぼちゃかぼちゃ両手の指を広げてかぼちゃの形のように、その先を接触させてから、これを開く(あるいはさらに切り割る真似を加える)
28246なすなす一方の手のすべての指先で他方の手のひとさし指をはさむ
28247つけものつけもの塩の手真似をした後、両手で押し漬けるようにする
28248たくあんたくあん切る真似をする
28249らっきょうらっきょう親指とひとさし指の指先をつけてラッキョウの形を作り、他方のひとさし指でスジを引く
29250ねぎねぎ青くて丸長い形を示し臭いと言うか、握った手をほほをふくらませて吹く真似をする
29251さつまいもさつまいも両手で芋を握り折る
29252じゃがいもじゃがいも西洋人の食べる芋であることを示す
29253きのこきのこ左手で円形を作る、あるいは、手を下にかがめてその下に右のひとさし指を立てる
29254のりのり左手の手のひらの上で右手を2,3回裏表に返す
果実の部
29255うめその形を作り、食べてすっぱい様子を示す
29256もも両手の指でその形を作る
29257すももすももその形を作り、赤いことを示す
29258なし両手の指で円形を作り、右のひとさし指でブツブツを描く
29259くり歯で皮をむく真似をする
30260かき拳を自分の方に向け、食べかじる真似をする
30261リンゴりんご梨と同じようにして、赤色を示す
30262みかんみかんやや小さい円形を作り、皮をむく真似をする
30263ザボンざぼん大きな円形を作り、皮をむく真似をする
30264ぶどうぶどうつたが垂れ下がっている様を示し、小さな円形を作って、その周囲にくっついている様子を示す
30265ざくろざくろ割れて赤い粒があることを示す
草木の部
30266幹の太さを示した手を下から上に延長し、その頂上で少し開く
30267えだまず木の形を作り、次に前方に両手のひとさし指を互いに差し出して、枝の伸びる真似をする
30268くさ手のひらも指先も上に向けた両手を細かく上下に動かしつつ、左右に開く
30269たけ両手で円形を作り、まっすぐに上に上げる、あるいは左右の手で上下に円形を作り、上の方を伸ばしては止め、止めては伸ばして節があることを示す
31270青色を示してから、その種類により、その形を空中に描く
31271はな指先をすぼめて、つぼみの形を作り、これを開く
31272まつ右手のひとさし指と中指の先で左手の手のひらを突く
31273いちょういちょう両手のひとさし指でいちょうの葉の形を描く
獣類の部
31274けものけもの握った両手を前に突き出すようにして四足であることを示す
31275うし左手のひとさし指で頭上に角の形を作る
31276うま手綱(たづな)をとり、鞭打つ真似をする
31277いぬ手を頭上に添えて耳の形を作り、これを動かす
31278ねこ拳を握って頭をなでる
31279ねずみねずみ両手の指を集め、前向きに口の辺り当てて、その指先を動かす
32280きつね5指でキツネの形(指文字キ)をする
32281たぬき腹鼓の真似をする
32282うさぎうさぎ耳を上に引き伸ばすようにし、さらに目が丸いことを示す、あるいは拳をそろえて跳ぶ真似をする
32283鹿しか頭上で枝の手真似をする
32284ぶた口をつかみだすようにして、少し手を上に上げる。
32285いのしし豚と同じ手真似をした後、両手のひとさし指上に曲げて口の両側に当てて牙のようにする
32286くま黒(白、茶色といろいろあるが、それをする)の後、肥え太った様子を示し、前足にみたてた手を重そうに動かす
32287とら体に縞(しま)がある手真似をして、両手の指を不規則に曲げ、猛獣の様にする
32288ぞう鼻の辺りから腕を下に伸ばす
32289さるひっかく手真似をするか、顔が赤くて額にしわがあることを表す
33290ひつじ角が後方に伸び、ひげが下に垂れている手真似をする
33291綿羊めんよう綿の手真似をして、獣(けもの)をする
33292こうもりこうもり飛ぶ真似をしてから、両手のひとさし指を折り曲げてコウモリの爪とする
鳥類の部
33293とり羽ばたきの真似をする
33294にわとりにわとり片手の手のひらを横向きに立て、ひとさし指の方を唇と額に当てる
33295からすからす黒い鳥
33296とびとび両手を横に伸ばし、少し体を左右に傾ける
33297わしわし親指とひとさし指でくちばしの形を作り、つかむ真似をする
33298みみずくみみずく鳥の真似をしてから、目を丸くし、頭に角形を描く
33299つる唇を指し、手を頂上に置き、くちばしが長いことを示す
33300すずめすずめ鳥の手真似をしてから、円形を作り頬に当てる
34301きじきじ尾の長い鳥
34302おしどりおしどり頭に長い羽毛があり、一体の羽毛が美しいことを示し、さらに水をかく真似をする
34303うぐいすうぐいす歌う(語ると同じ)鳥と言うか、梅干しの手真似をして鳥と言う
34304はと合掌した後、羽ばたきの真似をする
魚虫の部
34305さかな・うお両手をヒレのようにし、水をかくようにするのがあてはまる(適当なる)が、また、魚が背を返すように手をひるがえしながら、前に突き進むようにもする
34306たい赤い魚、という手まねをして、両手の人さし指で形を(幅広く)空中に描く
34307金魚きんぎょ鯛、と同じく、赤い魚、という手まねをしてから、両手の人さし指で長さを表す
34308ふなふな魚、の手まねに色と太さの表現を加える
34309なまずなまず魚、の手まねをしてから、口ひげを示す。また、口が広く裂けている真似をして、ゆるく首を振ったりもする。
35310うなぎうなぎ切る真似をする
35311どじょうどじょう泳ぎながら浮き沈みするように、人さし指を動かしながら上下する。あるいは、また(その後?)、口ひげを表す
35312えびえび両手の人さし指を胸の上の方から前方に伸ばして、急に引き戻す
35313かにかに両手でハサミの手まねをする
35314かめかめ両手を体に縮めて付け、もじる(よじる・ひねる)ように動かして、亀が泳ぐ真似をする。ただし、同時に体を少し揺らす
35315すっぽんすっぽん亀、の手まねをしてから、親指を立てて揺らしながら少し前に押しやる
35316かい両手を合わせて、貝が殻を開け閉めする手まね(指先の方を開く)をする
35317ふぐふぐ魚、の手まねをして、腹が膨れている様子を表す
35318たこたこ頭を撫でまわし、両手を広げて足とみたて、イボ(豆、と同じ)がくっついている事を表す
35319いかいか両手の指でイカの形を描く(スルメなら、裂いて食べる真似をする)
36320さざえさざえ左手を軽く握り、親指と人さし指で円をつくるようにする。その上に、右手の人さし指で、らせんを描き、左手の周りにイガがあるような真似をする
36321うじむしうじむし人さし指を出して、指頭を上下にかすかに動かす
36322とんぼとんぼ人さし指と中指を伸ばした左右の手で、はばたく真似をする
36323ちょうちょちょうちょ両手でチョウの形を空中に描き、飛ぶ真似をする。あるいは、長い口で花を吸う様子を表す
36324はち顔か手をつまんで痛そうな顔をした後、飛ぶ真似をする
36325せみせみ手を握って耳に当てた後、飛ぶ真似をする
36326ほたる光り(指先を一所に集めては開く)、飛ぶ真似をする
36327はえはえ横からハエを握り捕まえる真似をする
36328顔か手を数ヶ所つまんで掻く、あるいは、それに飛ぶ真似を加える
36329かえるかえる指頭を向かい合わせて広げた両手で膝を突き、さらに、そのまま一・二度膝を打つようにする
37330くもくもクモの巣の形を描き、左右の指を広げて、手をかけて上る真似をする
37331へびへび親指を立て、左右に振りながら前方に進める
37332かいこかいこうじむし、の手まねをした後、ワクをあやつる様子を表すか、絹、の手まねをする
37333ひるひる左手の甲上に右手の人さし指を当て、虫が這うように少し動かした後、指先を押さえるか、親指と人さし指で手をつまむ
37334かたつむりかたつむり指で狐の形をつくり、その手の甲の上に拳を置く
37335のみのみ押さえて捕まえ、つぶすようにする
37336しらみしらみ指を広げ、這い上がる様子を表し、つぶす手まねをする
37337みみずみみず唇を指し、人さし指で這う(ほふくする)様子を表す。あるいは、波線のように動かしてもよい
37338かまきりかまきり人さし指を曲げて、かまきりの斧とみたて、両手を上げる(ひじを下に)
37339いもりいもり這う真似をした後、唇を指し、胸をなでおろす
37340なめくじなめくじ人さし指と中指をツノのように出した後、人さし指と中指の先を付けて粘る手まねをし、自分の頭を叩いて体を縮める
38341ありあり頭を撫でて、指先を下に向けて細かく動かし、次に、行列で進む手まねをする
器具の部
38342かみ歯を指した後、両手の人さし指で四角を描く
38343すみ髪を指した後、墨をする手まねをして、小さい長方形を描く
38344ふで筆の軸を握ってしごく手まねをした後、穂先をつまみ、墨汁を付けて文字を書く真似をする
38345すずりすずり墨、と同様に表すが、長方形の幅は広くする
38346ほん左右の手を合わせ、本を開け閉めするようにする
38347左手を紙に、右手を羽ぼうきやハケに真似て、描く様子を表した後、紙の形をつくる
38348そろばんそろばん左の掌を上に向け、その上でソロバン玉をはじくようにする
38349印章・はんこいんしょう・はんこ右手の親指で、左手の手のひらの上にハンコを押す真似をする
39350つくえ手のひらを下にして机の面をなでるように手を左右に開き、そこから(机の?)両脚をなでおろすようにする
39351ますます四角形を描き、短い棒で平らにならす(斗掻きで掻く)ようにする
39352はかりはかり小さい棒の形を上の方に横たえ、次に、はかる真似をする
39353しゃくしゃく一尺分の距離をおいて、左右の人さし指を前に出して押さえるようにし、その距離を保ったまま指を右に移動して、同様にする
39354箪笥たんす両手で、引き出しをひく手まねをする
39355かがみ手のひらを鏡にみたてる
39356いすいす体をちょっと上げてから腰を据えるようにする
39357屏風びょうぶ手のひらを自分に向けて両手を並べて立て、裏返しながら左右に開く
39358かまどかまど大きなカマドの形をつくり、燃えている手まねをする
39359火鉢ひばち火が燃えている様子を表し、両手をかざして火にあたる真似をする
40360すみ燃える物で黒く丸長い物、の手まねをする
40361なべ左右の手で円形をつくり、人さし指で弓形の取っ手(つる)が付いている様子を表す
40362土瓶どびん取っ手(つる)を握って湯茶をうつす真似をする
40363急須きゅうす柄を持って茶を注ぐ真似をする
40364皿鉢さはち器の深さや大きさにあわせて形をつくり、陶磁器?(土質)であることを表す
雑の部
40365ふね両手で船底の形をつくり、揺れているように動かしながら前方に進める
40366蒸気船じょうきせん煙を吐く(掌を上にして、指先を合わせてから、開くと同時に突然に手を突き上げる)船
40367軍艦ぐんかん両手の人さし指を撃ちあわせる(戦争)か、または、両手の人さし指の先で衝きあう↘↙ようにした後、船、と表す
40368帆船はんせん右手の手のひらを上にして船の形をつくり、その指先に、下から左手で帆のようにして、息を吹きながら両手を前方に押し進める
41369つなつな指が互いに交叉するように両手を重ね合わせる
41370はた左右の人さし指を交叉して両手を開き、旗がひるがえるような手まねをする(両手の指先を向かい合わせて、掌を自分の胸に向ける)
41371小銃しょうじゅう狙い撃つ真似をする
41372大砲たいほう両手の指で弾丸の出る口(砲口)のように円形をつくり、突然に突き出す
41373かたな刀を抜く真似をする
41374ラッパらっぱ手を握って口に当て、吹く真似をする
41375四角形をつくり、人さし指と中指を伸ばして、碁を囲む真似をする
41376すごろくすごろくサイコロを転がすようにする
41377将棋しょうぎ人さし指と中指を伸ばして、将棋をさすように前に押し出す
41378写真しゃしん左手を軽く握って(親指を自分の方に向け)鏡筒の形とみたて、右手の手のひらで、筒の小指側を横からこすりながら通り過ぎらせる
42379手紙てがみ左手で軽く封筒を握るようにし、右手の指をそろえて封筒の中に差し入れる
42380左の手のひらの上に、右の親指の先を押しつける(拇印(爪印)の意味)
42381頭痛ずつう拳で額を2回ほど打つ(一般的な「病気」という手まねに用いる)
42382孝行こうこう親切とか孝行とかという事は、様々な解説が無ければ十分に悟ることはできないが、孝行、という事を簡単な手まねで表そうとするならば、まず、両親を愛する、と表すべきだろうか
42383稽古けいこ学校での稽古ならば、読み書きや算術などの手まねをする。その他も同様にする
42384高価こうか富者、と同じ手まねをする
42385廉価れんか手のひらを自分に向けて左手を前に出し、右手でお金の形をつくって左手の上に載せてから、そぎ取るようにする(減らす(減する)、という手まねである)
形容の部
43386長い、短いながい、みじかい左右の人さし指を伸ばして並べ、左右に遠く離すのを「長」とし、近づけるのを「短」とする。(物と事との違いに従って、その方法を変える事もある)
43387高い、低いたかい、ひくい手のひらを下に向けて上下する、あるいは、両手の人さし指を並べて立て、比較するように上にあげたり下におろして、高低の程度を表す
43388曲がっている、まっすぐであるまがっている、まっすぐである手のひらを開いて親指を上にして、手を前方に直進させると「直」とし、左右に動かし(蛇行し)ながら前進すると「曲」とする。ただし、棒のような場合は横に伸ばし、虹のような場合は大空に向かって弧を描く
43389厚い、薄いあつい、うすい手のひらを下にし、親指と人さし指の距離で厚さの程度を表す。また、両手の手のひらを相向かいにして厚さの程度を表すこともある
43390広い、狭いひろい、せまい「広」を表すには、両腕を湾曲して伸ばすか、四方をなでまわすようなような手振りをする。「狭」を表すには、両手の指をすぼめて囲むようにすることがある。川や道の広さは、両手の手のひらを向かい合わせて、その距離で表す。その他も、状態にあわせた手まねをする
44391硬い、軟らかいかたい、やわらかい「硬」は石と同じ。「柔」は、親指を上にして他の4指を下にし、両手でゆっくりつまみ押さえるようにする
44392大きい・多い・たいへん、小さい・少ない・わずかおおきい・おおい・たいへん、ちいさい・すくない・わずか親指の先を、人さし指の付け根に当てて人さし指全体を出すのを「最大」とする。人さし指の第2関節の辺りに当てるのは「大」とする。人さし指の指頭に当て、僅かに指先を出すのは「微小」とする。このように、大小・多少の程度によって適宜、調節する。小・少・僅などを表すには通常、親指の爪を、人さし指の先に当て、はじき上げるようにする
44393中くらいちゅうくらい人さし指の中ほどに、親指の先を当てる
44394だんだん進む、だんだん減るだんだんすすむ、だんだんへる人さし指の先に、親指の先を付け、だんだん人さし指の付け根まで親指を引き下げる。あるいは同様に、これと反対の手まねをする
44395急に増える、急に減るきゅうにふえる、きゅうにへる「進加 停減」の手まねをすばやくする
  【注意】 いずれにも用いられる編則(?)の方法であるが、大小などを測った状態にしたがって、表現がどれも同じになってはいけない。例えば、同じ「丸さ」についても、木の大きさと棒の大きさをはかる手まねは、同じではない。お金の「多い」は積み高くなる様子を示し、人数が「多い」は木立が繁るような手まねをする、といったように。
45396沢山たくさん両手の指を広げ、先を上向きにして、左右交互に上下させる
45397賑わう・賑やかにぎわう・にぎやか沢山、と同じ手まねをして、次に、体をゆっくり左右にひねり回して、人と肩をさすり合うようにしつつ遊ぶ手まねをする
45398悪・悪いあく・わるい人さし指で鼻先を横にそぐ真似をする
45399善・よいぜん・よい鼻先で拳を握る、と同時に、少し前に出す
45400おろかおろか怠惰、と同じ
45401上手じょうずどちらかの腕を前に伸ばして、これを撫でる。さらに、善、の手まねも加える
45402下手へた上手、の手まねをしてから、悪、を表す
45403美麗びれい単に、善、と表してもよい。あるいは、物によっては、横にひと撫でするようにしてから「善」と表す
46404汚いきたないたいがいは「悪」と表すが、場合によっては、泥や塵などの様な物が付いた様子の手まねをする。あるいは、また、乱れ散り破れ損した、などの様子を表す
46405かわいいかわいい愛した時を思うように
46406いつわる・にせいつわる・にせ額に手を手のひらを下に向けて当てる。なお、同時に舌を出すこともある
46407まことまこと偽りではない
46408強いつよい拳を握って腕を張る
46409弱いよわい手を自然に垂らし、弱そうな様子を表す
46410同じ、共に、似るおなじ、ともに、にる親指と人さし指の先を2度くっつける
46411順番、交番じゅんばん、こうばん交互で男女交替で番の時は、親指と小指を使う。その順番が男に当たる時には特に、その親指を示すようにする。
46412異なる・違うことなる・ちがう手のひらをひるがえす、または、手を指の間に挟んで指指を隔てるようにする。なお、聞き違い・見間違い・言い損じ等をいう時は、人さし指と中指を伸ばして、それぞれの位置で、それをひるがえす
47413熱いあつい熱いものに触れた時のように、痛そうに指先を振り、耳をつまむ
47414冷たいつめたい冬の朝(霜朝)に手に息を吹きかける手まねをする
47415暑いあつい夏、と同じ
47416暖かいあたたかい春の気候
47417寒いさむい冬の形容(ようす?)
47418涼しいすずしい秋の気候
47419眠いねむい居眠りの真似をする
47420けむいけむい手で目をこすった後、よけるようにする
47421くさいくさい鼻をつまんで顔をそむける
47422かおりかおり手をすぼめて鼻の方へ2度ばかり押し進め、嗅ぐようにする
47423あじ食べる真似をして頬を鳴らし(?)考えるようにする。通常の料理の味には、醤油、と同じ手まねをする
48424甘いあまい頬を2度ばかり叩く
48425まずいまずい舌を爪で掻く真似をする(渋い、えぐい、も同じ)
48426すい・すっぱいすい・すっぱい目を小さくして口をしぼるようにして酸っぱそうな表情をする
日用語の部
48427わたし自分の鼻、または胸を指す
48428きみきみこの人、と示す
48429だれだれ今その場にいる人の中で訊く時には、一帯を見渡しながら、2・3ヶ所指さし、不審な顔をする。その場にいない人について尋ねる・語る時には、首をちょっと傾けて、顔を背けた方で2・3人指さす真似をする
48430私どもわたくしども私と皆さんと共に、の意味を表す
48431はいはい頭を縦に振る。そうです(左様)、宜しい、等も同様
49432いな手のひらを2回ほど表裏にする
49433不承知ふしょうち頭を横に振る、あるいは、あかんべをする
49434手のひらを開いて2・3度空間を軽くたたくような真似をするか、または、頭を縦に振る
49436私ではない、私はしないわたしではない、わたしはしない人さし指と中指の先を鼻の中ほどに当て、交互に打つ
49437請願せいがん親指を上にして右手を上に出し、頭を下げると同時に、手を少し上下する
49438同行どうこう両手の人さし指を並べて立て、前方に押しやる。人数を示す必要がある場合は、その人数と同じ数の指を使う。5人以下の場合は、省略して片手で表してもかまわない
49439一緒に行くいっしょにいく手と手を握り、連れて行くように伸ばす
49440行き違ういきちがう両手の人さし指を立て、行き違うように動かす
49441別れるわかれる両手の人さし指を一所に立て、背中あわせにして、左右に離す
49442会うあう両手の人さし指を向かい合わせて立て、近づける
50443ちょうど会ったちょうどあった両手の人さし指の先をつける
50444おじぎするおじぎする人さし指を向かい合わせて立て、それぞれ曲げる
50445来るくる行く、の反対にして、向こうを指した指を引き戻して足元の方へ指先を向ける
50446帰るかえる行って、来る、時のこと
50447待つまつ行儀よし、と同じ。さらに、のどをつまむ手まねもする
50448ちょっと待ってくださいちょっとまってください少し、の手まねをして、次に軽く押さえて止めるような真似をする
50449居るいる・おる拳を上にして両ひじを体に縮めて付け、腰を据える様子をする
50450寝るねる手枕をして寝る真似をする
50451眠るねむる目を閉じる
50452起きるおきる朝、と同じ
50453食べるたべる単に食べる、という時には、物をつまんで食べる真似をするが、場合によって必ずしも同じではない
50454飲むのむ飲む手まねをする
51455吐くはく口に手をあて、物を吐き出すように前に下ろす
51456生まれるうまれる生まれる時の手まねをする
51457死ぬしする頭をかたむけ、それと同じ向きに両手を横に投げるようにする(下になる手は上向き、上になる手は下向きにする)
51458たおれるたおれる体と手を前(後ろ)に投げ出して、実際に倒れる様子を真似する。物が倒れる時は、両手を横に投げ、転倒の手まねをする
51459笑うわらう開いた口を手でおおい、少し上下に動かす
51460泣くなく泣き顔をして手で横にする真似をする
51461おこるおこる角をはやす。または両手を不規則に曲げて、手のひらの方は内側に向くように胸・おなか(胸膓)の辺りで互いに上下する
51462そしるそしる袖に顔を隠して笑い、憎むような真似をする
51463自慢じまん二度ほど自分の胸を叩いて、鼻を高くする
52464しかるしかる眼を怒らせ、唇をしめて、にらみつけ、指を差し向ける
52465しかられる、とがめられるしかられる、とがめられる親指を自分の方に差し向ける。または、額を打ちおさえる
52466驚愕、恐怖きょうがく、きょうふ体を少し後ろにそらすと同時に、すばやく指を広げて胸にあて、ゆっくりと胸を撫でる
52467仲よくするなかよくする友、と同じ
52468仲が悪いなかがわるい手の甲をすり合わせる
52469遊ぶあそぶ指先を上にして、両手を広げ、向かい合うように近づけ、互いに横にもみ合うようにする
52470戯れるたわむれる左手の指を広げて上向きにして少し曲げた上に、右手の指を同様に広げて下向きにし(触れない程度に)、両方が揉み合うように動かす
52471いたずらいたずら人さし指を顔の両側に立て、太鼓を叩くように交互に動かす
52472けんかけんかげんこつをかます真似をしする。また、人さし指の先を胸の方に向け、互いに突き合うようにする、あるいはまた、両手でつかみ合う様子をする
52473盗むぬすむ人さし指を曲げて、かぎのようにし、それで引っ張って奪い取る真似をする
53474盗まれるぬすまれるかぎで取られるようにする
53475走るはしる体を少し前にかたむけ、走るときの手振りをする。ただし、手の動かし方によって速度を示す
53476逃げるにげる様子を見るような表情で走り去る
53477追うおう両手の人さし指を離して前後に立て、すみやかに前方に進ませるうちに、後ろの指を前の指に近づける
53478紛失ふんしつ見てもない、という真似をする
53479貸してくださいかしてください少なし、と同様に、ちょっとください、と言う
53480貸すかすちょっと人に物を差し上げる、という手まねをする
53481買うかうお金をあげて物を取るようにする
53482競争きょうそう両手の親指を並べて立て、互いに上下する
53483試験しけん競争、と同じ
54484多忙たぼう澤山、と同じ
54485閑暇かんか手のひらを上にして、両手をひざに置く
54486手伝いてつだい手のひらを上に、指先を向い合せに両手を開き、そのまま左右に揺り動かす
54487勉強べんきょう馬車をひく馬の目のように、この両脇に手を添えて少し下げる
54488一心いっしん親指を立て、まっすぐに前に押しやる
54489怠惰たいだ口を開いて仰向けにし、閑暇、と同じ手まねをする
54490行儀がいいぎょうぎがいい指先が向き合うように、両手をひざにつく
54491うらやむうらやむ指をくわえて横目を使う
54492愛するあいする左右になでる真似をする
54493好むこのむのどをつまんで引く
54494好ましく思うこのましくおもうのどをつまんで、こめかみの所へ人さし指の先をあてる
54495ほしいほしいのどをつまみ、ちょうだい、の手まねをする
55496らくのどをつまみ、胸を上下にこする
55497喜ぶよろこぶ喜ばしい表情をして、胸を上下にこする。面白い、愉快、嬉しい、等、皆これと同じ
55498いやいや顔をそむけ、背いた方向に手を伸ばし、手のひらの上にあるものを他方の手の背で払い除くようにする
55499困るこまる頭をかく
55500困ったこまった面倒、うるさい(五月蠅)、不真面目、不愉快、不満、等の感情を表すことで、手を開いて小指の方で首を叩く
55501心配しんぱい広げた手指を胸にあて、首をひねりかたむける
55502悲嘆ひたん心配、の手まねをして、涙が落ち垂れる様子を表す
55503はずかしいはずかしい唇を指し、顔の上に指を広げておおう。すなわち、赤面
55504何ですかなんですかその物を指して、首をちょっと横にかたむける。もし、指す物が無い時は、単に首だけをかたむけ、場合によっては品物を2・3示して、それは何か、を問うようにする
56505○○しました○○しました手のひらを打ち合わせる
56506○○しています○○していますその方へ向け、有ります、と同じ手まねをする
56507○○させた○○させた斜め前方から、自分の胸を指す
56508御苦労ごくろう腕を前に出し、他方の手の拳か平手の側方で叩く、と同時に、頭を少し下げる(足労の時は、足を叩く)
56509安心あんしんゆっくりと、あごの辺りを撫でる
56510手まねてまね両手の人さし指で、ともに、わくを操るように互いに回転する
56511ありがたいありがたい請願、と同じ
56512ありますあります可、と同様に、手のひらで2・3度軽く空間を打つようにする
56513ありませんありません手にちりがついたのを打ち払うようにする
56514なさいなさいお願いの時は、何卒、と同様に。命令の時は、教えると同じ
56515わかりましたわかりました胸をなでおろす、知る、覚えた、承知、等と同じ
57516わかりません、しりませんわかりません、しりません指先で胸の端の方を二度ほど撫で上げる
57517覚えがないおぼえがない考えて、知らない、と言う
57518忘れたわすれた胸にあてた手を、逆に(上に)撫で放す
57519ちぇっちぇっ右拳で左手のひらを打つ
57520見違いみちがい眼の前に人さし指と中指を横に出して裏返す
57521間違いまちがい指先を目の前に向け、右から左へ手を払う
57522失策しっさく手のひらで頭を打ち押さえる
57523見るみる親指と人さし指の先を付けて、円形を作り目の前で2・3度振る
57524聞くきく自分の耳の穴を1・2度指さす
57525思考しこうこめかみに人さし指をあて、しばらく頭をかたむける
57526行くいく両手の人さし指を足の代りにして、歩いて行く真似をする
57527去るさる行く、と同じ。
58528終わりおわりしました、と同じにして、つまり済んだ、という事である