お知らせ

ろう者学トーク2025.09.10

2025年度ろう者学トーク限定配信(第2回)のご案内  田村誠志氏「手話言語学という道を拓く」

ろう難聴者の様々な生き方を模索していく学問でもある『ろう者学』。

本学では、ろう者学教育コンテンツの開発及びろう者学を学ぶカリキュラムの作成や提供に取組み、2013年度から取組みの一環として「ろう者学ランチトーク」を開催してきました。

2019年度までは本学天久保キャンパスを会場として対面で開催しておりましたが、2020年度からは新型コロナウイルス感染症感染拡大防止に伴い、「ろう者学ランチトーク」の開催形態を変更し、「ろう者学トーク」として撮影・編集した映像コンテンツをご提供しております。

「ろう者学ランチトーク」と同様に、本学や他大学等を卒業した後にキャリアを積んでいるきこえない方々を講師として、これまでのご経験や現在の活動を通して、ろう難聴者のキャリア形成に必要と考える知識についてご講演いただいております。

本コンテンツはお申し込みいただきました皆様への限定公開となっておりますが、全国の高等教育機関等で学ぶきこえない・きこえにくい学生、きこえる学生、支援などに関わる学生、教職員の皆さまをはじめ、ろう者学やろう難聴者に関心をお持ちの方々にも視聴いただけます。視聴のお申し込み方法につきましては、下記をご参照ください。

 

2025年度第2回ろう者学トークの講師は、本学卒業生で、米国ギャローデット大学大学院の博士課程で手話言語学の研究をされている田村誠志氏です。「手話言語学という道を拓く」というテーマでご講演いただきました。

 

最初に講師 田村誠志氏のプロフィールをご紹介いたします。


田村 誠志 氏


京都出身の聾者。京都府立聾学校幼稚部で育ち、その後は小・中・高と普通学校で学ぶ。筑波技術大学を卒業後、日立産機システムに就職。社会人経験を経て、本格的に言語学を学ぶために渡米し、Gallaudet大学大学院言語学部に入学。現在は同大学博士課程に在籍し、日本手話とアメリカ手話を対象に、統語論・構文・音韻論・意味論・認知言語学・社会言語学など、さまざまな観点から研究を行っている。

また、世界各地で開催されている手話言語学の国際学会でも研究発表を行い、国際的な研究交流にも積極的に取り組んでいる。


 2025年1月、エチオピアで開催された、手話研究における理論的問題会議(TISLR)にて、本学卒業生の田村さんが「日本手話とアメリカ手話における否定表現の比較研究」を発表し、Student Award(学生優秀賞)を受賞しました。この会議は、国際手話言語学協会(SLLS)が主催し、世界中の手話言語学の研究者たちが3年に一度集まり、研究成果を発表・議論する国際的な会議です。

 現在、田村さんはアメリカのギャローデット大学大学院の博士課程に在籍中です。言語学修士課程を修了したのち、博士課程で研究を続けながら、ハーバード大学のM&M Labで研究助手も務めています。


 田村さんは、6年間勤めた企業を退職後、日本財団聴覚障害者海外奨学金制度の支援を受け、2022年から渡米します。実は、小学校から高校まで一般校に通っており、日本手話に出会ったのは、筑波技術大学に入学してからだったそうです。

 大学では講義を通して「ろう者学」や「ろう運動の歴史」について学び、演出家・米内山明宏氏の影響を受け、「手話言語とは何か?」という問いに強く惹かれるようになります。その後、ギャローデット大学に関する講演をきっかけに、海外留学への意欲が高まったといいます。学部の卒業研究では、「日本手話言語の書記法」の提案にも取り組みました。


 現在、田村さんが行っている研究はとても幅広く、「手話言語の生成文法」「認知言語学」「音韻論」「意味論」「社会言語学」など、さまざまな視点から手話言語を探究しています。「視覚言語である手話を、どうやって研究するのか?」「『手話は言語である』という主張を、どう裏付けるのか?」手話に関する論文やデータはまだ少なく、研究資金も限られており、研究を続けるのは決して簡単ではないそうです。それでも、日本手話と他国の手話を比較する中で多くの発見があり、議論を重ねるのも楽しいと語ってくださいました。


 田村さんは、博士課程修了後も研究を続けていく予定だそうです。今後のご活躍に期待が高まります!ご講演くださった田村さん、本当にありがとうございました!



講師の田村氏は日本手話言語でご講演いただいております。

動画には日本語字幕を付与しておりますので、ぜひご視聴ください。(16分50秒)


【お申し込み方法】

視聴をご希望される方は、ろう者学教育コンテンツ開発ウェブサイトの「お申込み&お問い合わせ」のページにて、下記破線内1〜5についてご記載のうえお申し込みいただきますようお願いいたします。

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1. 教育機関等の名称・部局:

2. 氏名:

3. 視聴期間:〇月✕日〜〇月✕日(2025年9月から2026年3月までの間、日曜日開始・土曜日終了の1週間を上限とする)

      ※視聴希望日の約1週間前までにお申し込みください。

4. 利用目的:(例:授業、研修、視聴会など)

5. 対象者数:〇名

※本コンテンツは学生、教職員、支援・教育関係者の皆様にご視聴いただけます。

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【問い合わせ先】

ろう者学教育コンテンツ開発ウェブサイトの「お申込み&お問い合わせ」のページにてお問合せください。

※担当者の勤務体制により、映像コンテンツ視聴のお申し込みやお問い合わせの対応にお時間をいただく場合がございます。

あらかじめご了承ください。

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