手話言語学習者対象

ろう者と社会参加と情報保障

「ろう者の社会参加と情報保障」学習指導案

1 対象

・手話通訳者養成講座Ⅰコース受講生

・聾学校教員(手話検定2〜準1級レベル、聾学校教員経験1年以上)

2 指導の形態

通常教室(90分)

3 テーマ設定の理由

 手話通訳者養成講座受講1年目の者、聾学校教員経験1年以上の者にとって、ろう者の実態を学習することは、ろう者を含む聴覚障害者に対する意識を高める時期と考えた。また、2015年4月19日に実施された第18回統一地方選挙において、聴覚障害者2名が当選を果たしている。これを受けて、受講生自身の選挙における体験を共有し、選挙におけるろう者の置かれた状況や手話通訳者の設置までの過程などを知る事でろう者の視点に気付くことで手話通訳の意義を感じる機会と考えた。

4 本時の目標

・ろう者の社会参加について、具体的な事例(選挙運動における情報保障)を知る

・ろう者の権利の歴史を認知することで、自身における学習意義と方向性を認識する

5 本時の展開


主な学習活動 指導・支援内容 配慮・留意事項


30
・選挙運動について知見を出し合う
・ろう者の社会参加実態を把握する
・ワークシートの1の記入をする
・資料を読んでワークシートにある<作業>をまとめる
・現在のろう議員の活動について説明する
・候補者から国民への情報伝達方法についてワークシートの1の記入を促す
・資料を配布して、選挙における情報保障について、イメージを持たせる
・現在のろう議員の活動については、第18回統一地方選挙において、当選した聴覚障害者2名について、講師が事前に調べて準備すること


50
映像を視聴し、演説会などにおけるろう者の置かれた状況や手話通訳者が設置された経過を学習する
 
ワークシートの2の①〜⑥の記入をする
※映像視聴 約15分半
「立会演説会の手話通訳運動」
・当時の選挙状況[00:00—02:08]
・立会演説会[02:08-04:15]
・ろう者の参加状況[04:15-07:00]
・主催者の意識[07:00-11:55]
・手話通訳の制度化[11:55-12:36]
・ろう者の権利に対する意識[12:36-15:35]
※6編毎に止めて、補足説明をし、ワークシートの記入を促す
 
 
 



10
グループ間交流
・自分で書いたメモを掲示し、それぞれ読みあい、お互いに評価する
・周りの人と交流し、意見を深める
 
本時を通して考えたこと、気付いたことについて整理をする
 
 
講師による評価
2〜3名/組に配置し、3分間内容を確認しあうよう指示
 
 

 
 
 
 ・動画を通して学んだことや、意見をワークシートの裏を使ってまとめるよう指示する
・当時の様子を理解したうえで、自分自身の考えを持つように促す
・本日の評価を述べる
 
 
 
 
 
 
 
ポイントについて、ホワイトボード等を使って書き留めて、共有する

6 参考・引用文献またはWebサイト

・ろう者学教育コンテンツ開発プロジェクト,https://www.deafstudies.jp/info/vidarc-ds/,ろう者学教育コンテンツ映像アーカイブ,肥田弘二氏「立会演説会の手話通訳運動」

・中橋道紀「聴覚障害者の情報保障の課題」(2013),障害者と選挙,ノーマライゼーション 7月号

◆ 学習者の平均的知能状況(5段階)と今回の要素(知能状況の説明は別紙参照)

知能言語論理音楽(学問)(翻訳)(通訳)対人内省
現状32200022
期待値++++++++

作成:繁益 陽介(2015年)
編集:ろう者学教育コンテンツ開発取組担当

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