2022年度ろう者学トーク限定配信(第7回)のご案内:橋本草生子氏「理解度60%」

2022/11/24掲載

 ろう難聴者の様々な生き方を模索していく学問でもある『ろう者学』。
本学では、ろう者学教育コンテンツの開発及びろう者学を学ぶカリキュラムの作成や提供に取組み、2013年度から取組みの一環として「ろう者学ランチトーク」を開催してきました。
 2019年度までは本学天久保キャンパスを会場として対面で開催しておりましたが、2020年度からは新型コロナウイルス感染症感染拡大防止に伴い、「ろう者学ランチトーク」の開催形態を変更し、「ろう者学トーク」として撮影・編集した映像コンテンツをご提供しております。
 「ろう者学ランチトーク」と同様に、本学や他大学等を卒業した後にキャリアを積んでいるきこえない方々を講師として、これまでのご経験や現在の活動を通して、ろう難聴者のキャリア形成に必要と考える知識についてご講演いただいております。
 本コンテンツはお申し込みいただきました皆様への限定公開となっておりますが、全国の高等教育機関等で学ぶきこえない・きこえにくい学生、きこえる学生、支援などに関わる学生、教職員の皆さまをはじめ、ろう者学やろう難聴者に関心をお持ちの方々にも視聴いただけます。視聴のお申し込み方法につきましては、下記をご参照ください。

 2022年度第7回ろう者学トークの講師は、東北新社のデザイナーとしてされる橋本草生子氏です。「理解度60%」というテーマでご講演いただきました。

 最初に講師 橋本草生子氏のプロフィールをご紹介いたします。

橋本草生子氏

 橋本草生子さん

筑波大学附属聾学校 幼稚部卒業(現:筑波大学附属聴覚特別支援学校)
小・中・高は健聴の学校で過ごす。
和光大学 人文学部芸術学科を卒業し、東京障害者職業能力開発校 編集デザイン科でレイアウトデザインの基礎、デザインソフトの使い方を学んだのち、東北新社に入社。
冊子・広告・ロゴ・CM映像素材や小道具、などのデザインやプロモーション施策に関する仕事をしている。
映画やドラマが大好き。新型コロナウイルス感染症の影響による外出制限中に映画館通いの代わりに始めた「ネット配信で海外ドラマを見る」ことは今も楽しみのひとつ。
へこんだときのカンフル剤『ジョジョの奇妙な冒険』

【最近のお仕事】

  • 東ハト50周年クイズキャンペーン SNS用クイズ画像、賞品デザイン
  • suumo CM「松本潤さんのスーモノリスでこだわり条件篇」映像素材(文字)デザイン
  • オートバックス 2022年冬季CM タイトルロゴ制作
  • 太陽ホールティングス CM「宇宙少女デビュー篇」CM連帯ビジュアル制作

 子どもの頃から動物と絵を描くことが好きだったという橋本さんは、高校生の時に動物園に勤務している親戚に進路を相談しますが、「きこえないから動物関係の仕事は危ない、きこえる人でも大変なこと」と大反対されます。小中高ともにきこえる学校で、口話でのコミュニケーションは大変だったものの、「きこえる世界でも頑張ればできる」と信じてきた橋本さんは、厳しい現実を目の当たりにします。動物関係の仕事を諦めて、絵の道に進むことに決め大学では芸術を学びます。そこで出会ったろう者の友人たちと関わっていくうちに、きこえない自分を見つめ直すようになったといいます。
 卒業後は絵で生計を立てていくには厳しいと断念し会社を探しますが、会社で働く自分を思い浮かべず、就職活動をやめます。やがて、東京障害者職業能力開発校の編集デザイン科に入り、イラストレーターやフォトショップなどデザインに関するソフトの使い方やレイアウトの基本を学びます。パソコンで作品を作る面白さに惹き込まれ、デザイナーとして仕事がしたいと思うようになったとお話しくださいました。
 デザイン会社の求人が少なく、求人があったとしても事務系の業務がほとんどだという厳しい状況でしたが、「デザインとは無関係の会社でも広報でWEBを制作したり、デザインの経験を活かせる」という先生の言葉で、橋本さんは「デザイナーはデザイン会社に入る」という概念を覆されたそうです。そして、合同面接フォーラムで、現在の勤務先である東北新社と面接をします。橋本さんは、電話応対はできないものの自分だからこそできることがあることをPRし、晴れて採用されます。求人の「電話応対」の文字を見ただけで諦めずに、自分の思いをしっかり伝えたことが今に繋がっているといいます。
 現在はほとんど在宅勤務をしており、SlackやZoomなどコミュニケーションアプリを使って連絡を取り合っているそうです。自分以外の人たちとのやりとりも目に見えるので、把握できる情報が増えたといいます。デザインはセンスが大事ですが、コミュニケーションも大事、コミュニケーションにはアイデア、ヒント、そしてきっかけがたくさんつまっているとお話しくださいました。
 ご講演くださった橋本さん、本当にありがとうございました!

 講師の橋本氏は日本手話言語で講演いただいております。動画には日本語字幕を付与していますので、ぜひご視聴ください(25分46秒)。

【お申し込み方法】
視聴をご希望される方は下記破線内1〜5についてご記載いただき、ろう者学教育コンテンツ開発取組担当(E-mail:info@deafstudies.jp)までご連絡ください。

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  1. 教育機関等の名称・部局:
  2. 氏名:
  3. 視聴期間:〇月✕日〜〇月✕日(2022年11月から2023年2月までの間、日曜日開始・土曜日終了の1週間を上限とする)
    ※視聴希望日の約1週間前までにお申し込みください。
  4. 利用目的:(例:授業、研究、視聴会など)
  5. 対象者数:〇名

※本コンテンツは学生、教職員、支援・教育関係者の皆様にご視聴いただけます。
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【問い合わせ先】
ろう者学教育コンテンツ開発取組担当
E-mail: info@deafstudies.jp

※事務局スタッフの勤務体制により、映像コンテンツ視聴のお申し込みやお問い合わせの対応にお時間をいただく場合がございます。
あらかじめご了承ください。

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