自立活動「“ご当地手話”を学んでみよう!」学習指導案

1 対象

中・高等部

2 指導の形態

DVDを視聴できる教室

3 指導のねらい

1)“ご当地手話”の意味や誕生の背景を理解するとともに、自分が住んでいる地域にもご当地手話が存在していることやご当地手話の保存の大切さを知る。

2)自分が住んでいる地域の“ご当地手話”を学び、誇りを持ちながら当地手話を使い続けていきたいという気持ちを育む。

3)歴史的背景が“ご当地手話”に関係していることやご当地手話と共通表現の手話といったそれぞれの良さを理解する。
“ご当地手話”は一般的に手話の方言と言われているもの。

4 指導にあたって

・指導する側は地元の成人ろう者などにどのような“ご当地手話”があるかを確認し、どんな“ご当地手話”を紹介するか、事前に準備しておくと良い。更にビデオカメラを活用することで、記録に残したり、学習発表会などにも活かしたりすることもできる。

5 本時の展開

学習活動 指導・支援内容
(留意事項及び配慮事項)
評価の観点

県外のろう者と話した時に手話が通じなかったり、手話表現が違ったりした経験を思い出す。 「県外のろう学校(聴覚特別支援学校)の生徒と話した時に、自分と相手の手話表現が異なるといった経験はない?」と発問し、本時の学習への関心を持たせる。
例:鳥取県の手話表現(地元と県外)
自分の経験を思い出そうとしているか。(判断)


「ご当地」の意味を調べたり、“ご当地手話”はどんな手話であるか考えたりする。
(ワークシート記入)
「“ご当地手話”の名称を知っている?」と発問し、「ご当地」の意味を国語辞典で調べさせ、本時の学習の狙いを押さえさせる。 ご当地の意味を自ら調べようとしているか。(関心)
ご当地手話はどのようなものであるかを知る。
  • ご当地手話が生まれた背景を考え、記入したことを発表し合う。
(ワークシート記入)
*映像視聴
「ご当地手話を伝えたい」
  • 生徒の発言内容を板書し、様々な視点やヒントが存在していることが分かるようにする。
*国体の手話表現より視聴する。
[00:00~01:35]
[07:00~15:00]
“ご当地手話”が生まれた背景を考えたり、発表したりすることができたか。(考察・発表)


自分が住む地域のご当地手話にはどのようなものがあるかを考えたり、知ったりする。
  • 自分が住む地域のご当地手話にはどのような手話があるか考えて、発表する。(ワークシート記入)
「私たちが住む地域にもご当地手話と呼べる手話はないだろうか。」と発問する。
 
  • 普段生徒が使っている手話の中で他県とは通じない手話表現に着目させる。
    *鳥取県の場合
    例:
    上下の表現(鳥取県⇔県外)
    前後の表現(鳥取県⇔県外)
自分の住む地域に該当すると思われるご当地手話を考えたり、発表したりしていたか。(関心・発表)


新しい言葉が出てくるとともに新しい手話表現も必要であることを理解する。また、その役割を担っている組織があることを知る。
*日本手話研究所(京都市)
http://www.com-
sagano.com/jisls/
  • 指文字の利便さを知るとともに指文字では伝わりにくいイメージを迅速に伝えられるご当地手話の良さを知る。
「新しい手話表現がないと困るのはどのような人やどんな場面であると思うか」と発問する。
*新しい手話や日本手話研究所の紹介例として、聴力新聞・MIMIの新しい手話のページを実際に提示すると良い。
  • 指文字を習っていない高齢者
  • 指文字が分かってもイメージが掴めなかったり、意味が分からなかったりした場合など
新しい言葉が出てくるのと同時に手話も新しく作っていく大切さを理解できたか。(理解)

6 参考・引用文献

使用DVD  ・ろうを生きる難聴を生きる NHK Eテレ 2014年10月5日放映
       「“ご当地手話”を伝えたい」
       * 聴覚障害者情報提供施設などのライブラリーで借りられます。

指導参考資料 ・手話言語地図(試作版):
       http://www.deafstudies.jp/osugi/jslmap/

作成:尾田 将史(鳥取県立鳥取聾学校),2017年
編集:ろう者学教育コンテンツ開発取組担当

【資料のダウンロード】